「音楽のまち・かわさき」として地域づくりを推進し、世界水準の音響といわれる「ミューザ川崎シンフォニーホール」での演奏会や、市民合唱団の催しなど、数多くの活動が見られる川崎市。この地のマンションで昨秋、リノベーションしたWさんもまた、無類の音楽好き。こだわりのオーディオ機器をそろえ、家で楽しむのはもちろん、同ホールにご夫妻で訪れることもあるという。新築時から約20年が経ち、マンションをリノベーションすることになったときに重視したのが、より上質な音で音楽を楽しめる家にすることだった。
ご夫妻で年を重ねるこの先の暮らしを見据えて、3LDKから1LDKに部屋数を減らし、寝室からウォークインクローゼット、洗面室、LDK、寝室と、回遊できる動線を計画。玄関とパントリーを直接結び、ゆったり使いやすいようにしている。そして最大のポイントが、音質向上のために施した、さまざまな仕掛けだ。
リビングの壁は、音のバランスが取れるよう、厚みのあるフレームに吸音材を入れて遮音壁に。天井もウレタンフォームと石膏ボードを取り付け、音を逃さない防音仕様にしている。さらに、残響が出にくくなるよう、リビング側の垂れ壁に傾斜をつける工夫も。もともと窓は二重サッシで、騒音を遮断する効果があったが、壁の内部にファンを組み込み、24時間換気に。最善の音質と快適な空調のもと、音楽に没頭できる。 壁には色鮮やかなブルーをペイント。ダークブラウンのオープンシェルフに並べられたオーディオは、インテリアとしても映えている。
柄入りのベージュのタイルが華やぎを添える洗面室。椅子を置ける洗面台で、奥さまがくつろげるように |
Wさんのもう一つの趣味は自転車。奥多摩や秩父まで自走するなど、週に300〜400㎞は走るという。 自転車も満喫できるよう、玄関は広めに設計。天井に耐久性を持たせて、自慢の自転車を吊るして収納できるようにしたほか、道具をしまえる棚を設置。ガレージのようなこの空間で、アプリを使って映像を見ながら自転車をこいだり、メンテナンスをしたり…。 「思い描いた環境を手に入れて、家での時間をより楽しめるようになりました」と、余暇をますます充実させている。