経済的で一年中快適な暮らしを実現 一次エネルギーの消費を抑えた低炭素の家
リビングは造作したローボードやローソファなど、低い家具でまとめることで、広く見えるようにした
2018.05.21

経済的で一年中快適な暮らしを実現 一次エネルギーの消費を抑えた低炭素の家

住宅や自動車を低炭素化して環境を守ろうとしている 環境モデル都市・つくばで建てたエコロジー住宅。 木材の使用や省エネ設備の導入で、暮らしの経済性、快適性と環境保全を両得

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茨城県つくば市は、2013年に「つくば環境スタイル『SMILe』みんなの知恵とテクノロジーで笑顔になる街」を策定。つくばエクスプレス沿線開発などに伴い、住宅がたくさん建設され、自動車が増えることを踏まえて、住宅の低炭素化・低炭素車への転換を促進し、環境に良い都市づくりに力を入れている。

物件データ 物件データ所在地/茨城県つくば市
面積/118m²
築年月/2016年5月
設計/海老原隆士(海老原建築一級建築士事務所)
www.ebihara-architecture.com

茨城県を拠点に活動している建築家の海老原隆士さんも、つくば市内に低炭素住宅を建てた一人だ。 「南にも東にも家が建ったので、西からの日差しを取って明るくするしかありませんでした。朝は日が入らないので、断熱性の高い家にして暖かさを保とうと。それなら、金利や税制の優遇措置のある低炭素住宅にしようと考えました」(海老原さん)

南と東側に隣家が迫っているため、西側に庭をつくり日差しを取得。外壁のサイディングは防汚コーティングが施されている
夏の西日対策として窓の外にシェードを付けて強い日差しをシャットアウト。「窓の外で日を遮断したほうが有効」と海老原さん

低炭素住宅とは、石油、石炭、天然ガスなどの一次エネルギーの消費を抑える設計や設備を導入した家で、所管行政庁で認定されなくてはならない。省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギーの消費量が10%低くなくてはならず、壁・床・天井・窓の断熱性能がキーポイントとなる。

玄関は3枚引き戸で広々と開口。正面壁の窓下に、靴の脱ぎ履きに便利な折り畳み式補助椅子を設置
低炭素住宅の条件を満たすため、高い断熱性能、木造住宅に加えて節水トイレをセレクトした

海老原さんの家では、断熱材は高性能グラスウールを天井に155㎜、床に80㎜、壁に105㎜充填。窓ガラスはアルミ・樹脂複合サッシのアルゴンガス入りLow-E複層ガラスを採用。 また、低炭素住宅の認定を受けるためには、8つある省エネ対策項目から2つ以上の項目を満たす必要があるが、木造にすること、節水トイレを採用することでクリアした。

冬は床暖房だけで暖かく、子どもは裸足で走りまわっている。壁仕上げはメンテナンスが楽なビニールクロスを選んだ
断熱性、保温性に優れたハニカムスクリーンを階段入口に取り付け、1階の暖かい空気が逃げないように工夫

「生活面では夏涼しく、冬暖かいのが最大の魅力。だからエアコンをほとんど使いません。電気代、ガス代などの光熱費が安く抑えられるのもうれしいですね」(海老原さん) 住宅ローンは、10年間の最大控除額が一般住宅より100万円多い500万円に。さらに登録免許税も軽減されるといったメリットもある。 「低炭素住宅は、建築費はかかりますが、住み始めてからのランニングコストは抑えられます。長期的に見ると質の高い暮らしが送れ、身体的にも、精神的にも健康に暮らせます」(海老原さん)

キッチンを囲むように広いカウンターを設け、ダイニングテーブルを省略。そのぶん広いリビングを実現
text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Akira Nakamura
取材協力

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