茨城県つくば市は、2013年に「つくば環境スタイル『SMILe』みんなの知恵とテクノロジーで笑顔になる街」を策定。つくばエクスプレス沿線開発などに伴い、住宅がたくさん建設され、自動車が増えることを踏まえて、住宅の低炭素化・低炭素車への転換を促進し、環境に良い都市づくりに力を入れている。
茨城県を拠点に活動している建築家の海老原隆士さんも、つくば市内に低炭素住宅を建てた一人だ。 「南にも東にも家が建ったので、西からの日差しを取って明るくするしかありませんでした。朝は日が入らないので、断熱性の高い家にして暖かさを保とうと。それなら、金利や税制の優遇措置のある低炭素住宅にしようと考えました」(海老原さん)
夏の西日対策として窓の外にシェードを付けて強い日差しをシャットアウト。「窓の外で日を遮断したほうが有効」と海老原さん |
低炭素住宅とは、石油、石炭、天然ガスなどの一次エネルギーの消費を抑える設計や設備を導入した家で、所管行政庁で認定されなくてはならない。省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギーの消費量が10%低くなくてはならず、壁・床・天井・窓の断熱性能がキーポイントとなる。
海老原さんの家では、断熱材は高性能グラスウールを天井に155㎜、床に80㎜、壁に105㎜充填。窓ガラスはアルミ・樹脂複合サッシのアルゴンガス入りLow-E複層ガラスを採用。 また、低炭素住宅の認定を受けるためには、8つある省エネ対策項目から2つ以上の項目を満たす必要があるが、木造にすること、節水トイレを採用することでクリアした。
断熱性、保温性に優れたハニカムスクリーンを階段入口に取り付け、1階の暖かい空気が逃げないように工夫 |
「生活面では夏涼しく、冬暖かいのが最大の魅力。だからエアコンをほとんど使いません。電気代、ガス代などの光熱費が安く抑えられるのもうれしいですね」(海老原さん) 住宅ローンは、10年間の最大控除額が一般住宅より100万円多い500万円に。さらに登録免許税も軽減されるといったメリットもある。 「低炭素住宅は、建築費はかかりますが、住み始めてからのランニングコストは抑えられます。長期的に見ると質の高い暮らしが送れ、身体的にも、精神的にも健康に暮らせます」(海老原さん)