丁寧につくられた昭和期の日本家屋を改修 モノを大切に長く使う暮らしを実践
2階にあったダイニングキッチンと個室を撤去して、大きな吹抜のあるリビングダイニングを実現。家族4人でのびのびと過ごせる空間に
2017.12.20

丁寧につくられた昭和期の日本家屋を改修 モノを大切に長く使う暮らしを実践

古いモノを大切にする思いから、リフォームによる家づくりを選択したご家族築50年の木造住宅が、開放的で味わいのある家に生まれ変わった

TRIP
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1960年代に開発された横浜の高台にある閑静な住宅地。約70坪の敷地面積にゆったりと佇む黒い板張りの家を訪ねた。 この家に暮らすのは、30代の齋藤さんご夫妻と小学生のお子さま、お母さまの3世代4人家族。自分たちで手を掛けて住み続けられる中古の一戸建てを探していたところ、知人を介してこの家に出合い購入。築50年の木造住宅で、当時では珍しく断熱材が施され、開放的な空間づくりが可能な門型フレーム構法でつくられていた。

物件データ 所在地/神奈川県横浜市
面積/177.51m²
築年月/2016年7月
運営・管理/LOHAS studio
www.okuta.com
既存のままの石垣や庭木、漆黒塗りの外壁が落ち着いた印象を与える。 門型の柱梁が空間を支える木構造を採用
外壁は漆黒塗りの松板張り。格子窓や木製の玄関扉も既存を残している。 外構はこれから手を入れる予定

「以前のオーナーによって改修が重ねられていましたが、柱や梁はしっかりとした状態に保たれ、デザインや素材には深いこだわりが感じ取れました。知人から大切に使われてきたことを聞き、できるだけ既存を残してリフォームしたいと思いました」 そう話すご主人は、住宅リフォーム会社でリフォームアドバイザーを務めている。その経験を生かし、自宅の改修設計に自ら携わった。

畳だけを交換した小上がりの和室。吹抜にはキャットウォークを新設。 右手奥にはお母さまの居室と水回りを配置

既存の間取りは二世帯住宅で、キッチンが上下階に一つずつ、和室を含む個室が6室あった。齋藤さんは自分たちの家族構成やライフスタイルに合わせて、2階のダイニングキッチンと個室一つを撤去。1階のLDKに大きな吹抜をつくり、ダイナミックな空間を実現させた。

ご主人の書斎。床はブラックウォルナットとローズウッドが混在。カーテンボックスや壁面収納は既存。キャビネットは店舗用の什器
2階の子ども室。壁のペールイエローやパイン材の床は子どもと選んだ。室内窓から吹抜に通じる

既存の建具や木製サッシ、カーテンボックスは、埃を払い磨き上げ、本来の美しい姿に復元。内装は古い木部になじむ珪藻土の白壁仕上げに。LDKにつながる小上がりの和室は畳を交換するだけの最小限の変更で従来の面影を継承。2階の床の根太が現しになったキッチンは、ダイニングに向き合う対面式のオープンキッチンに一新した。

吹抜を仰ぐLDKはさんさんと光が注ぐ。床とキッチンの腰壁はウォルナット仕上げ。ダイニングの照明には北欧の名作を選んだ

「以前から家もモノも、長く大切に使い続ける暮らしへの憧れがありました。良質な木を使って丁寧につく られた日本の家をベースにしながら中庸をとる家づくりが、わが家のルール。今の『好き』より、飽きのこないことを大切にしました」(奥さま) 成熟した木造住宅の佇まいを生かしながら、新しい家族の暮らしに合わせて、より洗練した姿に。50年前に建てられた木造住宅が、若い家族の手により再び活気づいた。

text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Takamasa Sasai
取材協力

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