深い軒がかかるテラスから 心地良い自然の風が吹き抜ける開放的な住まい
ゆったりとくつろげるテラスのデッキは、心地良い肌触りのスギ材。 深い軒のおかげで雨の日もデッキで景色を楽しめる
2017.10.20

深い軒がかかるテラスから 心地良い自然の風が吹き抜ける開放的な住まい

山緑の中にひっそりと佇む平屋の住宅。伸びやかで存在感のある軒が、強い雨や日差しから家を守り、自然と共生する暮らしを実現

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古くからの農村景観が守られている高知県津野町。山に囲まれた豊かな自然の中に、山﨑さんご夫婦とお母さまの3人が暮らす住まいがある。  敷地はご主人が生まれ育った実家が建っていた場所。曽祖父の時代に移築された家で、築100年以上。洗面、浴室、トイレは屋外の小屋にあったという。  「父が亡くなってから母が一人で住んでいたのですが、段差も多く、老朽化した建物に母を住まわせることに不安がありました。また、私自身も人生の後半は生まれ育った土地で暮らしたいと思い、建替えを真剣に考え始めました」(ご主人)

物件データ 所在地/高知県高岡郡
面積/93.29m²
築年月/2017年4月
設計/山本乃夫(乃亜建築設計事務所)
www.noasekkei.biz
山間に立つ南北に長い平屋。外壁材にはワサビ色の弾性リシンを 選んだ。周囲の自然ともマッチしている
伸びやかで存在感のある軒は壁から2m30㎝突き出している。深い 軒は雨や強い日差しから家を守ってくれる

設計は家づくりをサポートしてくれる機関から紹介された乃亜建築設計事務所の山本乃夫さんに依頼した。
 雨の多い高知県では家づくりの基本がある。瓦で屋根をつくる場合、4・5~5寸の勾配をつけた屋根にすることが一般的となっている。
 「外観を山の斜面になじませるために、建物の高さをできるだけ抑えました。耐久性の高いガルバリウム鋼板を使用することで、3寸勾配の緩い屋根を可能にしました。屋根の角度は材料によっても変わります」と話す山本さん。深い軒で家を囲み、雨からしっかり家を守るつくりにした。雨が多ければ、湿気も高くなる。施主の山﨑さんご夫婦は、これを最も気にしたという。

LDKの南側は、大きな開口で視覚的な広がりを獲得。テラスと室内をバリアフリーでつなげて、外との一体感を高めた
システムキッチンの背面に引出し収納をつくり付け、食器などを収 納。扉の奥はパントリー
東に面した洗面室に高窓を設け、風の通り道をつくり、湿気対策の一環に。窓からは緑も見える
勾配天井が落着きを生み出す寝室には、ウォークインクローゼットと ロフトを設けた

「家の底一面を鉄筋コンクリートのベタ基礎にして土壌面からの水蒸気の侵入をシャットアウトしています。
東面には高窓を設けて風の通りを良くしました。また、壁材に調湿作用のある珪藻土を用いたり、天井や建具も板張りにしたりするなどの工夫を施し、湿気を緩和させています」 (山本さん)
 ご夫婦が望んでいたテラスもLDKの南に設けられ、外とつながる開放的な住まいが実現した。
 「夜、テラスで寝転がって星を見ていると最高に気持ちがいいです」(ご主人)。  奥さまは朝、鳥のさえずりで目が覚めると言う。家庭菜園でおいしい野菜を収穫し、バーベキューを楽しむなど、ご夫婦は存分に自然を満喫している。

リビングからキッチン方向を見る。LDKの広さは22畳、天井は3.7m と高い。収納は造作家具にしてすっきり暮らせるようにした
text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Akira Nakamura
取材協力

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