家のどこにいても自然を感じる 緑豊かな4つの庭と暮らす家
庭に人が集まる家が夫妻の夢だった。この日は近所の友人との持寄りパーティーを楽しんだ
2017.09.20

家のどこにいても自然を感じる 緑豊かな4つの庭と暮らす家

LDKを中心とした風車型の平面プランがさまざまなシーンの庭を創出。 家にいながら自然を感じ、友人や地域の人との交流を楽しむ

TRIP
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イタリアとフランスで建築を学び、現在は東京で住宅や店舗などの設計を手掛けている建築家の野口淳さん。約2年前に故郷の千葉県市川市に自宅を新築した。 「以前は神奈川県川崎市の賃貸マンションに住んでいましたが、自宅を建てるなら、生まれ育ち、両親も住んでいる市川市にと決めていました」

物件データ 所在地/千葉県市川市
面積/86m²
築年月/2015年12月
設計/野口淳(㈱タンポポデザイン一級建築士事務所)
www.tampopo-d.com


お父さまが犬の散歩中にたまたま見つけたという旗竿敷地。野口さんはグーグルマップで土地の形状や周辺環境を入念に調査し、事前に家のプランを作成。現地を見てすぐに購入を申し込んだ。

緑豊かな住宅地に建つ野口邸。外壁は1階が杉板張り。2階は墨入りモルタルで仕上げた
玄関のドアと一部の壁に外壁と同じ杉板を採用。大きなFIX窓が庭の景色を絵のように切り取る

「市川市でも珍しいくらい周辺に緑が多いし、東側はパノラマのように開けている。大きい家を建てなければ、庭のスペースも十分に取れると判断しました」
 家と同じくらい、庭を大切に考えていたという野口さん。そこで、家の平面を風車の形にプランニング。そうすることで、4つの庭を生み出せると考えた。「大きな庭が1つあるより、いろいろなシーンがあった方が楽しいと思いました」

LDKの床はヨーロピアンオーク。一部の壁を杉板張りにして、温かみのある北欧インテリアを目指した

現在は芝生とデッキの庭、菜園を目指す庭、朝食やお茶をする庭、薪割りをする庭が家の周りを囲み、ヤマボウシやコブシの他、モモの木、リンゴの木など実のなる樹木がたくさん植えられている。
 「目指したのは、花が華やかに咲き誇ったいかにもつくられた庭ではなく、本当の自然の中にあるような緑の庭。そこで木を植えたり、土や草いじりをしたりする生活に憧れていたんです」

玄関のドアと一部の壁に外壁と同じ杉板を採用。大きなFIX窓が庭の景色を絵のように切り取る
昨年、庭に植えたエゴマを収穫。「庭で採れたエゴマで料理できるなんて、とても豊かな気持ちです」と奥さま

風車型の家には開口部がたくさん設けられ、どこにいても庭を眺められる。家と庭の一体感があり、室内にいても外にいるような感覚だ。
 「大きな家を建てて、立派な家具や家電を置くより、外とつながって、庭で食事やパーティーを楽しんだり、空・風・陽などの自然を感じられる暮らしが、僕たちにとっての豊かさなんです」
 種をまいて芝生を育てたという奥さまは、花を植えて花壇をつくったり、野菜を植えて家庭菜園を楽しんだりすることが、子育て後の夢だという。

子ども室は勉強と遊びのスペースに分けているが、将来は3部屋にできるように設計
2階の子ども室の一角には、子ども3人で悠々と描ける大きな黒板が。黒板用塗装でDIYした
風車型プランの中心部に配置した薪ストーブで暖を取る。スペイン製で窓が大きく、炎がよく見える
text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Hideki Okura
取材協力

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