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先祖代々の土地を住み継ぐ、築160年の蔵座敷を囲む家
玄関を入ると開放感のあるLDK。奥に見える蔵座敷の扉は漆喰で塗装し、周りの壁に真鍮の板を張ってインテリアの見せ場
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2017.06.20

先祖代々の土地を住み継ぐ、築160年の蔵座敷を囲む家

離れだった蔵座敷を囲むように住居を新設し、母と娘家族が暮らす二世帯住宅に。昔から受け継がれる庭の緑を大きな窓で室内に取り込み、家の伝統と記憶を継承する

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今年、米寿を迎えたYさんは、今住む敷地に、江戸時代中期の1716年に建築された武家屋敷で生まれ育った。
 「茅葺き屋根の家だったことをよく覚えています。その屋敷が築250年を迎えた1966年、トタン屋根の2階建ての家に建て替えました」(Yさん)
 それから50年近くたった2013年、Yさんが転倒して怪我を負い、両膝とも人工関節に。住まい環境の見直しが必要になり、現在、岐阜県に住む次女夫婦が定年になったら山形に戻り同居する計画で、二世帯住宅に建て替えることを決めた。  

物件データ 所在地/山形県上山市
面積/383.34m²
リノベーション竣工年月/2014年3月
設計/山本学(アトリエガク一級建築士事務所) agak.lomo.jp

設計は、家づくりのイベントで次女のご主人が気に入ったアトリエガク一級建築士事務所の山本学さんに依頼した。Yさんからのリクエストは、「160年前に建てられ、先祖代々受け継がれてきた蔵を残すことだけ。あとは娘夫婦に任せました」
 当初、物置として使われていた蔵は、一度目の建替えの前にものを整理し、蔵座敷にしていた。

既存の蔵を生かした部分だけ2階建てになっている。屋根はガルバリウム鋼板。外壁はサイディング
蔵座敷と庭の間に広縁をつくり、開口を大きく設けて、先祖代々引き継がれる景色を取り込む

「蔵座敷は母屋と離れていたため、あまり使われておらず、もったいない状態でした。しかし、保存状態が良く、特に入口の扉の意匠が素晴らしかったので、積極的に新しい家に生かそうと思いました」(山本さん)

40畳のLDK。庭に植わる樹齢400年の松の木が開口部の真ん中に見えるように設計した

建替えプランは、母屋と蔵座敷を通路で連結させるのではなく、蔵座敷を住居で囲み、蔵座敷を中心に東西に大きく羽を広げるように各居室を配置。蔵座敷の東側は仏間とし、Yさんは毎日ここで仏壇に手を合わせているという。西側の間は、次女の茶室にあつらえた。

対面キッチンだが、手元がリビング側から見えないように立ち上がり壁を高くした。奥に勝手口と応接間が続く
蔵座敷の2階。古いダイニングセットやタンスなどが置かれ、サブリビングやゲストルームとして使用

また、敷地の南側には植栽豊かな庭があり、LDKや寝室、茶室から眺められるよう建物の南に連続窓を設置。屋外と室内を緩やかにつなぐ広縁もつくり、明るく伸びやかな住まいを実現した。
 「この辺りは住む人がいなくなっている空き家がたくさんあります。次女夫妻から孫の代に続き、この家を末長く継いでいってくれれば、本望です」(Yさん)

蔵座敷の仏間(手前)と茶室(奥)。茶室は今後一緒に暮らす次女が使う予定で、炉も切ってある
text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Akira Nakamura
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