趣味のガーデニングを楽しみながら、大らかな景色を堪能する草原での暮らし
ソファを置いた「外の間1」はリビング的な存在。大きな窓からは南から東の庭が楽しめ、夜は月や星が美しく見える
2016.12.20

趣味のガーデニングを楽しみながら、大らかな景色を堪能する草原での暮らし

よく晴れた青空と見渡す限りの草原。外の世界に開く浮遊感のある小さな家で、自然に包まれて豊かに暮らす

TRIP
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朝5時に起床して朝食を済ませると、早速庭へ。夜、灯りがつくまで草花と過ごす。
「庭仕事は木々や球根を植えるだけではありません。雑草を取ったり、咲き終わった花を摘んだり、肥料を施したり、害虫駆除をしたり、やることがいっぱい。この辺はモグラやアナグマが根をダメにしてしまいますので、彼らとも戦わなければなりません。1日があっという間に過ぎてしまいます」
そう話す伏見さんは、今では毎日ガーデニング三昧の日々を送っているが、以前は東京都に住む公務員だったそう。

物件データ 所在地/山梨県
面積/67.08m²
築年月/2012年3月
設計/岸本和彦(acaa建築研究所)
www.ac-aa.com

「定年後はどこに住もうかと、海外も視野に入れて考えたのですが、結局、近場の山梨に。ここは母の土地なのです」と、庭を育てながら、草原の中に暮らすライフスタイルを選んだ。
新居の設計は、家づくりのセミナーに参加して出会ったacaa建築研究所の岸本和彦さんに依頼。草原となじむレッドシダー張りの小屋のような外観。それとは一転、室内は光が美しく拡散する白い世界。コンパクトだが、内壁が複雑に入り込み、全体を見通せない奥行きのある空間が広がる。そして外と接する「外の間」が4つ、DKや寝室など生活を営む「中の間」が3つある。
「風景を求める、つまり外に向かって開く開放感と、シェルターとしての安心感を18坪の小さな家の中に共存させています」(岸本さん)

自然の風景に違和感なく佇むレッドシダーの小屋。赤味が強い木だが、竣工から4年が経ち、味わいが出てきた
西側の庭が堪能できる「外の間3」の玄関まわり。綺麗な夕日を見ながら、ベンチに腰掛けて過ごしている
「外の間1」から寝室や和室を見通す開口部。開口が切り取る部屋の様子が重なり、ひとつの風景になる
空や緑を眺めながら入浴できるバスルーム。壁はレッドシダー
3つの「中の間」の床には磁器質タイルを張った。天窓からの光が刻々と動いて、白い空間に美しい陰影をつくる

ここでの生活の最大の魅力は「景色」だと伏見さんは言う。濃い霧に包まれた雲海の景色は、とても幻想的で感 激 するそう。一方、不便なことは、店舗や病院などが近くにないこと。買物は1週間に1度車で買出しに行き、まとめ買いしている。
 ちょっとあれが欲しいなんていうとき困りますけどね」(伏見さん)自然な感じできれいだな、気持ちいいな」という庭を目指しているが、まだ目標とする庭の30〜50%しか達していないという。カメラを勉強して、庭の木々や花々、庭を訪れる小鳥や蝶々などを撮るのが次の楽しみだ。

和室である「外の間2」。大きな窓から庭の様子が楽しめる。桜の花見時には、友人が大勢集まる
コンパクトなアイランドキッチン。「とても使いやすく、窓から庭を見ながら作業できるのがうれしい」と伏見さん
text_ Sayaka Noritake photograph_ Hideki Okura
取材協力

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