3階リビングから姫路城を望む景観を大胆に取り込んだ住まい
3階リビングでくつろぐ星山さんご夫妻。窓の外には姫路城の城郭の一部と緑が見える
2016.11.21

3階リビングから姫路城を望む景観を大胆に取り込んだ住まい

地上レベルからでは不可能だった『姫路城の眺め』が楽しめる3階建て。城下町の雰囲気を損なわないよう意識したデザイン

TRIP
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姫路城の西方向、古民家と新築が混在するエリアに建つ星山邸。地上3階建て鉄筋コンクリート造の建物は、前面道路から駐車スペース分をセットバックし、前後に2つのボリュームを持つ。
 「緑が見えて、繁華街からも近い場所が理想だったので、お城の近くで土地を探していました」とご主人の星山政義さんは話す。

物件データ 所在地/兵庫県姫路市
面積/55.13m²
築年月/2009年5月
設計/木下昌大建築設計事務所
(キノアーキテクツ)
yumekikou-happy.com

以前は同じ市内のご実家でご両親と暮らしていたが、2人のお子さまの成長とともに手狭になり、新築での家づくりを考えはじめたという。その際、影響を受けたのがご夫妻が足しげく通っていたアンティーク家具「オコンネルズ」オーナーの住まいだった。そしてアドバイスを請いに向かったオーナー宅で同物件の設計者、キノアーキテクツの木下昌大さんと知り合う。土地が見つかってすぐに相談、設計を依頼した。

ボリュームを前後に分けることで周囲への圧迫感を抑えた。周辺には植栽を積極的に施している
2階階段。老後を考えて2人乗りできるエレベーターも設置済み

「リビングから姫路城を眺められる家にしたいと話したら、3階建てが必須条件となりました。ほかに来客用を含めた車5台分の駐車スペースと庭をリクエストしましたが、それ以外はほぼお任せです」(奥さま) リビングは優先的に3階かつ南東方向に大きな開口をとるプランで進められた。さらに木下さんは上層に行くに従い姫路城への眺望が開けていくように壁を回転させて開いていく形を見いだす。

ダイニングからリビング方向を見る。左の小さな正方形の窓からも姫路城がのぞける
お子さまがパパッと朝食をとれるようカウンターキッチンに。収納が少ないため、食器は厳選
大学生と高校生のお子さまの部屋。間の壁は将来リノベーションした場合に取り払うことを検討

「模型の段階ですでにシンボリックな外観に驚きつつも、期待以上で心躍ったという政義さんは、「希少なアンティーク家具と同じで、ほかにないデザインがいいと思いました」と嬉しそうに当時を振り返ってくれた。現在リビングには白壁を背にお気に入りのアンティークコレクションを配置。放物面ゆえの難しさもまた、インテリアを考える楽しみになっているようだ。 竣工から7年を経て庭の木々は少しずつ生長し、周辺環境とも緩やかになじみつつある星山邸。リビングの窓からは、姫路城が今日も優美な姿をのぞかせる。

リビングからダイニング方向を見る。モルソーのストーブを愛用中。薪は政義さん自ら調達する
text_ Rie Suzuko photograph_ Akira Nakamura
取材協力

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