土間や炉壁に、地産の大谷石を使用地域と自然と気持ち良くつながる家
ナチュラルテイストでまとめたLDK。床はクリの無垢材、天井はキリの無垢材。壁は砂漆喰を塗装
2016.05.23

土間や炉壁に、地産の大谷石を使用地域と自然と気持ち良くつながる家

表情豊かな大谷石のエントランスが出迎える建築家の自邸。 適材適所の窓の工夫で外の景色を取り込みながら、四季を快適に過ごす

TRIP
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栃木県宇都宮市を拠点に、住宅などの建築設計を手掛けている神原浩司さん、敦子さんご夫妻。一昨年、浩司さんが生まれ育った築45年の古家を、住まいと仕事場が一体になった2階建て一軒家に建て替えた。
 玄関ドアを開けると、明るく広い大谷石の土間が目の前に広がる。「宇都宮で生まれ育った私は、どこかに地産の大谷石を使いたいと思っていて、まず思い浮かんだのがこの玄関土間でした。大谷石と木の組合せはとてもきれい。そのうえ、石自体の表情も豊かで、柔らかい雰囲気も持っている。その美しさをエントランスで表現したかったんです」(浩司さん)

物件データ 所在地//栃木県宇都宮市
面積/154.15m²
築年月/2014年8月
設計/かんばら設計室
www.kan-bara.com

より印象的な空間に仕上げるために、石の表面をチェーン引きという方法で加工。さらにLDKの一角にある薪ストーブの炉壁にも、大谷石を採用した。
 「断熱性や耐火性が高いだけでなく、熱をはね返して空間に放出するんです。だから熱効率がとてもよくなるんですよ」(浩司さん) クリのフローリングやキリの天井材ともマッチし、インテリアのアクセントとしても大谷石が効果的に生きている。

建物は敷地に対して45°振って配置。外壁はモルタルの下地にアクリル系塗料のマヂックコートを吹付け
建物は敷地に対して45°振って配置。外壁はモルタルの下地にアクリル系塗料のマヂックコートを吹付け
エントランスと中庭をつなぐ通り土間の床は大谷石。ここで
仕事の打合せをすることも
エントランスと中庭をつなぐ通り土間の床は大谷石。ここで仕事の打合せをすることも
娘さんがピアノの練習をしたり、浩司さんが趣味のエレキギターを弾く音楽室。外壁側の壁は防音仕様とした
娘さんがピアノの練習をしたり、浩司さんが趣味のエレキギターを弾く音楽室。外壁側の壁は防音仕様とした

「家づくりでは、いつも人や家族、自然とのつながりを重視している」と話す神原さんご夫妻。自邸では敷地の東側にある県立公園のイチョウ並木を取り込むように大きな開口部を取り、LDKから緑や紅葉が常に眺められるように設計。空とつながるハイサイドライトをふと見上げると、きれいな夕日や月明かりにハッとすることもある。そんな日々の気づきを大切に生活しているという。

イチョウ並木が見える東側に大きな窓とデッキを設けた。LDKや子ども部屋からも緑が眺められる
イチョウ並木が見える東側に大きな窓とデッキを設けた。LDKや子ども部屋からも緑が眺められる
キッチンからリビングダイニングを見る。食卓のペンダント照明はこの部屋に合わせてオリジナルで製作
キッチンからリビングダイニングを見る。食卓のペンダント照明はこの部屋に合わせてオリジナルで製作

気持ち良い風もふんだんに入り、夏でも余程の猛暑日でなければエアコンは使わずに過ごせるそう。自然を楽しむ快適な暮らしは、結果的に省エネルギーにも貢献しているようだ。
 間取りは家じゅうどこにいても家族の気配が伝わり、自然とLDKに集まる造りに。「家には家族の拠り所となる場所が必要。家族が関わり合うことで、毎日安心して楽しく暮らすことができるのです」(敦子さん)

右側をベッドスペース、左側を勉強スペースに分けた子ども部屋。勉強スペースの上はロフトスペースに
右側をベッドスペース、左側を勉強スペースに分けた子ども部屋。勉強スペースの上はロフトスペースに
薪ストーブはデンマークのモルソー製。まわりを断熱性・耐
火性が高い大谷石で腰壁風に囲んだ
薪ストーブはデンマークのモルソー製。まわりを断熱性・耐火性が高い大谷石で腰壁風に囲んだ

text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Akira Nakamura

取材協力

HOMETRIP Styles of living

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