趣味人やクリエーターが集まる郊外型賃貸住宅。 緑豊かな環境で、自分らしい暮らしを満喫
南棟エントランス。駐車場も完備。将来は樹木に囲まれた集落になることを目指している
2016.01.20

趣味人やクリエーターが集まる郊外型賃貸住宅。 緑豊かな環境で、自分らしい暮らしを満喫

仕事場やアトリエとして使える趣味室や、地域に開かれた共用スペースをもつ賃貸住宅。 郊外の住宅地で、さまざまな人と関わり合いながら創作活動や交流を楽しむ

TRIP
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都心のベッドタウンとして発展してきた埼玉県越谷市に、2014年に完成した賃貸集合住宅「蒲生シュミグラシ WAnest(ワ・ネスト)」。緑豊かな敷地にゆったりと連なる赤い屋根の建物群が、住宅地でひときわ異彩を放っている。
 オーナーの大和さんは、お父さまからこの広大な敷地を引き継ぎ、長年塾考の末、賃貸住宅を建てることを構想。設計はスタジオ・アーキファーム一級建築士事務所の峯田建さんに依頼。

物件データ 所在地/埼玉県越谷市
面積/46.37m²
築年月/2014年8月
設計/峯田建+恩田恵以(スタジオ・アーキファーム一級建築士事務所)
www.archifarm.jp

最寄り駅の東武スカイツリーライン「蒲生」駅は都心まで約1時間。各駅停車しか停まらない。 「都会でもなく、リゾート地や田舎でもない立地に対して、物件にどのような特長を与えれば良いのかが問題でした」(峯田さん)
峯田さんが提案したのは、寝に帰るだけの住まいではなく、趣味を楽しむ生活がしたい人、在宅勤務やフリーランサーをターゲットにした賃貸住宅。全住戸に居住空間だけでなく、趣味を楽しんだり、仕事場やアトリエとしても使える趣味室を設け、共用のスタジオや工房、カフェなども併設。入居者と地域住民がつながりながら暮らせるようにした。

キッコウチクが植わる緑と水が気持ちいい中庭を臨む回廊は、住人たちの憩いの場
キッコウチクが植わる緑と水が気持ちいい中庭を臨む回廊は、住人たちの憩いの場
趣味室は約20㎡。デザイナーの赤尾さん、イラストレーターの田中さんは仕事場として活用
趣味室は約20㎡。デザイナーの赤尾さん、イラストレーターの田中さんは仕事場として活用

「10万円ほどの家賃で住居に加えてアトリエや仕事場も提供できるのは、蒲生という場所だからできることだと思います」という大和さんの言葉を裏付けるように、ごく普通の郊外住宅地にもかかわらず、現在20~30代の若者を中心に申込みが相次いでいるという。
 東京と神奈川から引っ越してきたデザイナーの赤尾亮さんとイラストレーターの田中亜祐美さんは、いずれは独立して2人で事務所を持ちたいと思っていた。「そんな私たちにうってつけの物件で、内覧に来てすぐ入居を決めました」 (赤尾さん)

約8畳の居室。各住戸にはキッチン、バス、トイレが完備されている。床は無垢のパイン材
約8畳の居室。各住戸にはキッチン、バス、トイレが完備されている。床は無垢のパイン材
3つのレンタルスタジオがあり、そのひとつでは週3回、「ガモウスタジオ」という美術教室が開かれている
3つのレンタルスタジオがあり、そのひとつでは週3回、「ガモウスタジオ」という美術教室が開かれている

田中さんはここでフリーのイラストレーターとしてスタートし、赤尾さんは会社に勤めながら、夜や週末は、2人で組んだデザインユニット「moimoi」の仕事に励んでいる。「住人同士のコミュニケーションが密で、名刺制作などの仕事を依頼してくれることもあり、夢の実現に近づいています」(赤尾さん)
 「入居者は思いのほか若い人が多く、アーティスト系の方が多く集まりました。『WAnest 』のnest は『巣』を意味します。ここから若い才能が大きく育って、世の中に羽ばたいていって欲しいですね」(大和さん)

建物内にあるカフェ。曜日ごとにシェフが入れ変わり、1週間を通して
さまざまな食事が楽しめる
キッチン本体はカウンター下がオープンのシンプルな造り。ガスオーブンはアメリカ製
レンタルスタジオのひとつでは、タヒチアンダンス教室やフラダンス教室も定期的に開催されている
レンタルスタジオのひとつでは、タヒチアンダンス教室やフラダンス教室も定期的に開催されている

text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Akira Nakamura

取材協力

HOMETRIP Styles of living

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