大阪で会社を経営するMさんは、国際レースにも出場する腕前のヨットマン。以前より、海のすぐそばに家を建てたかったが、ひょんなことからその夢が実現した。
2011年、ヨットレースに参加するため、瀬戸内海を航行していたときにエンジントラブルにおそわれ、今治沖を漂流する事態に陥った。そのとき、Mさんは漂流していたところの海端の土地が売りに出ていることを発見。すばらしい景色が気に入り、購入を決心したという。
「建築家はネットで検索。ホームページに掲載されていた岡田俊彦さん設計の別荘を見て、この人なら自分がイメージするものができそうだと思い、電話で連絡しました。すると偶然、岡田さん自身、今治育ちということがわかり、風土を熟知していることにも安心し、設計をお願いすることにしました」(Mさん)
そして完成したのが、瀬戸内海に向かって広がるテラスと、吹き抜けのある50帖のLDKを持つ大空間。「この別荘のコンセプトは『マリンレジャー基地』。かしこまった別荘ではなく、大勢で気楽に使え、遊べる別荘を目指しました」(岡田さん)
Mさんの希望は、出来るだけ海に近いこと。そして海と一体感のある広い空間とテラス。「初めは25帖のLDKから図面を起こしたのですが、打ち合わせをするたび、もっと広く、もっと海に近く、と希望され、出来上がったら50帖ものLDKになっていました」(岡田さん)そしてそのLDKからは、穏やかな内洋に、正面の大三島をはじめ、いくつもの島が見え、まるで風景画のなかにいるようだ。
そしてそのLDKからは、穏やかな内洋に、正面の大三島をはじめ、いくつもの島が見え、まるで風景画のなかにいるようだ。この別荘には、Mさんのご家族やヨット仲間、ときには仕事関連の人を誘い、月2回は訪れるという。
「ここに来たら、昼間からワインを飲むこともあるし、泳いだり、近くをバイクや自転車で走り回ったり。とにかくみんな好きなことをして過ごしています。夕日もとてもきれいです」(Mさん)Mさんは最近、料理やカクテルにも興味を持つようになった。「この別荘を持ってから、毎日の生活のなかでストレスが気にならなくなりました」とMさん。仕事を辞めたら、住民票を大阪から今治に移すことも考えているという。