懐かしさ溢れる団地で始める、シンプルで心地よい暮らし
ダイニングと一続きのリビング。押入れ部分に残る柱がアクセントになっている
2013.12.20

懐かしさ溢れる団地で始める、シンプルで心地よい暮らし

2013年度グッドデザイン賞を受賞したMUJI×UR団地リノベーションプロジェクト。 家具選びも楽しい、新・団地ライフが今、若者に注目されている

TRIP
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広大な敷地に整然と並ぶ棟、クリーム色の外壁に大きく書かれたアルファベットと数字、広場にはこの団地で生まれ育った子どもたちに愛されてきたであろうブランコ…。懐かしさ溢れるこの団地は、日本最初の大規模ニュータウン開発として建てられた「千里ニュータウン」の一つ。1967年築のこちらの団地に2012年4月から入居しているのが、共に27歳のSさんご夫妻だ。ご夫妻が暮らすのは、無印良品とUR都市機構の共同プロジェクトでリノベーションされた「新千里西町団地」。仕切り壁を取り去り、白い塗装が施された開放的な空間に、若い感性でコーディネートされたインテリアがよく似合っている。

物件データ 所在地/大阪府豊中市
面積/3.98m²
築年/1967年
リノベーション設計/ムジ・ネット株式会社 ryohin-keikaku.jp +独立行政法人都市再生機構 西日本支社
問い合わせ/独立行政法人都市再生機構 西日本支社 募集販売センター www.ur-net.go.jp/kansai
TEL:/06-6346-5540
緑地や公園が広く取られているのが団地の大きな特徴。静かな環境で暮らしやすい
モルタル仕上げの玄関にはクロスバイク。ビビッドな色が白い玄関に映える

「結婚が決まり、初めて暮らす家を探し始めたときに、この団地に暮らす姉が、ここの募集が出ていることを教えてくれたんです。抽選だったので、どうせ当たらないだろうと思いながら申し込んだら、見事当選し」(奥さま)。まだどんな家に住みたいかのイメージも固まっていない段階での当選だったため、自分たちが本当に暮らしたいのはどんな家なのかを探ろうと、当選後にいくつかの賃貸物件を回ってみたという。
「僕自身は団地というと、古い、狭いといったイメージがあったのですが、デザイナーズマンションも含めて5軒の賃貸住戸を回って比較しても、陽当たりや風通しの良さ、間取りのシンプルさなど、ここが一番魅力的でした。団地は陽当たりがとてもよく考えられていて、全ての住戸が南に向いているんです。この部屋はさらに、壁を取り去ってあるので、日中は照明がまったくいらないほど明るいですね。夏も南北に風が通るので快適でした」(ご主人)。

北側に位置するダイニングは全面が白で仕上げてあり、日中は照明無しでも十分明るい
北側に位置するダイニングは全面が白で仕上げてあり、日中は照明無しでも十分明るい
僧侶を職とするご主人は音楽が趣味で、イベントでDJをすることも
僧侶を職とするご主人は音楽が趣味で、イベントでDJをすることも

高度成長期の住宅不足を解消すべく建てられた団地は、限られた床面積を細かく仕切る造りが主流だった。しかし、年月を経て高齢化や核家族化が進んできているという。そこで古き良き日本の佇まいを生かしながら、今の暮らしに合うリノベーションを施す団地が増えてきている。新たな世代が新たなスタイルで団地に暮らし始める。団地はこれからも多くの人に愛され、住み継がれていくことだろう。

キッチンは広くて作業がしやすくお気に入り。料理も趣味のご主人はよく夕食を作るとい
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キッチンは広くて作業がしやすくお気に入り。料理も趣味のご主人はよく夕食を作るという
洗濯物が干せるルーフバルコニーからは、広い空と広い海。最高の眺めを独占できる
洗濯物が干せるルーフバルコニーからは、広い空と広い海。最高の眺めを独占できる

text_ Takako Yoshida photograph_ Akira Nakamura

取材協力

HOMETRIP Styles of living

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