床の滑りやすさや傷は、多くの愛犬家が抱える住まいの悩み。Nさんご夫妻も、6年前にトイプードルのロッタを飼い始めたが、マンションのフローリングが滑りやすく、ロッタの足腰に負担がかかることを懸念していた。
「私がハウスダストのアレルギーを持っていてカーペットが苦手なので、既存のフローリングに滑り止めのUVコーティングを施しました。ところが、ひんやりした感触になってしまい、しばらくしたら表面の塗装が剥がれてきてしまったんです」(奥さま)。
2009年、ロッタがヘルニアを患ってしまったのをきっかけに、イヌ専用の部屋にしている1室の床を、南部栗の無垢フローリングに変更することに。
「フローリングのサンプルを見せてもらいましたが、それだけではピンとこなくて…。木材専門店のショールームにロッタを連れて行って、実際に無垢床の上を走らせました(笑)。それで、これはいい! と納得したんです」(ご主人)。
その後、トイプードルのジョイを譲り受け、居室全体のリノベーションを行った。
2回目の改装のポイントの一つが床材のさらなる工夫。南部栗の無垢材を全室に採用し、木目の凹凸を浮き立たせる加工「うづくり」を施した。この天然のエッジにより、自然オイルの塗装とあいまって、いっそう滑りにくい床に仕上がった。
また、廊下を通らないと行き来できなかった寝室とイヌ部屋は、間の壁の下部を抜いてケージを収めるとともに、イヌがウォークスルーできるようにした。
ウォークスルー部分には、来客時に寝室を目隠しできるよう、寝室側にフラップ扉を設置。
「人とイヌにとって便利だなと思うことを一つ一つデザイナーと話し合い、形にしていきました」(ご主人)。
「木のぬくもりがあって、素足で歩くと本当に気持ちがいい。傷が付いても味わいになります。ほこりも溜まりにくく、掃除もラク。愛犬たちも思い切り走って楽しそうです」(奥さま)。
ペット目線で住まいを考えたNさんご夫妻。安心で楽しいペットライフを存分に堪能しているようだ。