親の老後を心配したり、親に子育てのサポートを希望したりと、さまざまな理由から二世帯住宅を選ぶ子世代が増加傾向にあるようだ。
千葉県浦安市にお住まいのKさんご夫妻も、「適度な距離を保ちながら、高齢の母親を見守りたい」という考えから、実家を二世帯住宅に建て替えることにした。
設計は、ご夫妻の知人で、気心の知れた建築家の方に依頼。
大きな勾配屋根が特徴的なKさんのお宅は、中庭を介して東側がKさんご夫妻の2階建て住居、西側がお母さまの住居。お母さまの住居はダイニングキッチン+居間という小ぶりな造りで、二世帯は主にそれぞれの道路に面した玄関で行き来する。
2008年に結婚し、しばらく浦安市内の賃貸マンションで暮らしていたKさんご夫妻。 「いろいろなプランを考えましたが、結局、親世帯と子世帯を完全に独立させた形にしながらも、お互いの気配が感じられる住まいづくりを希望しました」(ご主人)。 81歳になるお母さまは、「主人が25年前に他界して以来、身の回りのことは全て自分でこなしてきました。同居するに当たり、息子夫婦に気を遣わずに暮らしたいと思っていたんです」。 もともと広い敷地の一戸建てに1人で住んでいたこともあり、最初は広い部屋を望んでいたという。 「でも、建替えのために仮住まいのアパートに引っ越したら、母も狭い方が掃除もしやすくて暮らしやすいと納得してくれましたね(笑)」(ご主人)。
2つの世帯が接しているのは、子世帯のルーフテラスから通じる屋根裏部屋のみ。
リビングからは親世帯のキッチンの窓が見え、生活音も多少聞こえるため、お互いの気配がさりげなく分かるという。
「一度、あまりに音がしないので、主人が母の様子を見に行ったことがあるんです。すると、母が風邪薬を飲んだ後にお風呂に入ったらしく、湯船で寝ていました。早く気付いて本当に良かったと思いましたね」(奥さま)。
お互いの暮らしを気遣いながらも、程良い距離感を保つ。二世帯住宅は、これからますますニーズが高まっていくことだろう。